ヴァンシップで世界を旅したい

IT系大学院生のブログ

エヴァンゲリオン新劇場版Q 感想 ネタバレ注意

昨晩、レイトショーにてエヴァQを見てきました。
私の率直な感想は、「わけわかんないけど圧倒的に面白い」でした。

冒頭、宇宙でのアスカ・真希波と使徒との交戦がいきなり面白いですよね。このシーンは金曜ロードショーでの冒頭配信で事前に観ていましたが、それでも大画面・大音量で観ると圧倒されます。破の冒頭もいきなり真希波と第3使徒のシーンでしたが、エヴァは本当に序盤でグッと心が持っていかれて、あとはそのままのめり込んでしまいますね。

そして、アスカが出てきます。初めはフルフェイスのヘルメットのようなものをかぶっていて顔が見えず、「誰だろうこれ…?」って感じだったんですが、それを脱いでアスカであることが分かった時はもう嬉しかったですね。「アスカー!!」と思わず叫びそうになりました。破であれだけ絶望的な姿になっていた衝撃がすっきり解消されました。観る前、Qは破のすぐ後から再開されると思っていたので、アスカが復活するとしても中盤以降だと思っていました。それもあって、序盤にいきなり元気な姿が見れて嬉しかったですね。

この宇宙での交戦では、アスカと真希波が一緒に戦っていることにも驚きました。アスカと真希波なんて絶対に性格合わないだろうと思ったんですが、意外と良いコンビでしたね。アスカはいつものまんまでしたが、真希波がそのわがままをうまい事包み込んでいて微笑ましかったです。

それと、アスカの中でシンジの存在が意外と大きかったことにも驚きました。宇宙で何かを回収した後、その中から使徒が出てきますが、ここでアスカは「なんとかしなさいよ!!バカシンジー!!」って言うんですよね。14年も経ってるのに。普通14年も前の人なんてほとんど覚えてないですよ。それを、さも今でも一緒に戦っているように言うんですから、やっぱりアスカはなんだかんだシンジの事が好きなんですかね。Qの最後でも、ブーブー言いながら結局シンジを助けに来てくれますし。シンジの事をこれだけ思っているなら、破で綾波とアスカが料理していた続きを見てみたい気もしてきます。そうなるともうただの3角関係ラブコメになっちゃいそうですが…。

その後、シンジは初号機から救出されますが、ここのみんなの冷たい対応がキツかったですね。ここでやっと破と時間的に繋がっていないことが描かれていくのですが、最初はわけがわからなくて頭に「?」が浮かびまくってました。14年の眠りから覚めたシンジ君と全く同じ心境でした。シンジ君は起きたらいつものミサトさん達がいると思っていて、ボクら観客もいつものエヴァだと思って観ていたら、見事にそれを裏切られるわけです。そして、なんかみんな冷たい態度であることに不安になってきます。このシンジ君と観客のシンクロは狙ってやっている気がしますね。確かにシンジ君と一緒になって困惑してしまいましたもの。

そんなミサトさん達はヴィレとかいう団体を作って、ヴンダーとかいう飛空艇に乗ってNERVと戦っています。この飛空艇といい、コックピットの配置といい、僕はエウレカセブンを思い出しました。だって関係性の構図も一緒なんですよ。エヴァQは、ヴンダーという飛空艇に乗ったヴィレが、NERVという政府側組織と対立し、使徒という宇宙人と戦っています。エウレカは、月光ステイトという飛空艇に乗った飛行海賊が、政府と対立し、コーネリアンという宇宙人と戦うんです。まあ狙ったってことはないと思いますけど、同じロボットアニメとして無意識にちょっと影響されてそうなったのであったら、エウレカファンとしては嬉しいんですけどね。まあ庵野監督と佐藤大さんの関係は知らないのでなんとも言えないですが。

綾波(なんて呼んだらいいのか分からないのでこう書いときます)がヴンダーからシンジ君を助け出すところで、やっと今までのミサトさんが一瞬みられますね。シンジ君の首には、エヴァに乗ったら死ぬ首輪がつけられていて、その起爆スイッチをミサトさんも持っています。んで、偽綾波がシンジ君をつれて行こうとするときに、ミサトさんは首輪を起爆させようとしてやめますよね。なんでここでミサトさんはシンジ君を殺さないかっていうと、むかし楽しくやっていた仲間だからという理由だけではないと思うんですよね。正直、ニアサードが起きてしまって、シンジ君を行かせたらフォースが起きてしまうかもしれないわけですから、そんな事言ってられないはずです。世界が終わる危機です。これはやっぱり、ミサトさんもシンジ君をちょっと憎んでしまう傍ら、自分がシンジ君を悪者にしてしまった罪悪感も感じているからでしょう。破の最後では「行きなさいシンジ君!!誰のためでもなく、あなた自身の願いのために!!」的なセリフを言って、そのまま綾波を助けようとしたシンジ君がニアサードを起こすんですから。自分で貶めてしまった無垢な少年を、ミサトさんは自分で処理するなんて自分勝手なことは出来なかったんでしょうね。それでも、合理的に考えればここでシンジ君を殺っておくべきだったと思いますが…。

ネルフ本部はニアサードでボロボロになっていますが、この荒廃っぷりったらないですよね。廃墟画像スレで出てきそうなほど廃墟です。そこでちゃんと新エヴァ作ってて、ゲンドウと冬月が普通に居るのがまたビックリです。どれだけ再建するお金がないかってことを物語っていますよね。もしくは、それほど再建する人達が居なくなってしまったのか。シンジにトウジの制服が支給されるくらいですからね。でもトウジの制服が原型をとどめてるってことは、それを着ていたトウジは無傷だったんじゃないかとか想像してしまうのですが、本当のところは何もわかりません。

そして、お待ちかねの┌(┌ ^o^)┐シーンです。別に僕が待っていたわけではないです。テレビ版を観ていたときは小学生だったので、あんまりそういう事を気にしていなかったのですが、今回はやばかったですね。最近は流行りだから特に意識して見ちゃったのもありますが。シンジ君とカヲル君が寝そべって星を見るシーンですが、シンジ君がふとカヲル君の方を見ると、カヲル君は横寝(?)状態でシンジ君をすでに見つめてるとことかやばいですよね。なんかシンジ君照れてるし。もうお前ら結婚しちゃえよ!状態でした。まあでも、ピアノのシーンは単純に美しかったです。今回弾いていた曲がなんだったかは分からないですが、僕は今でもエヴァと言えば第9とかカノンのイメージがあるので、ちょこっとそれも弾いて欲しかったですね。

それはさておき、ついに物語は佳境に入っていきます。正直、ここからが分からないことだらけです。まず、アダムスの器とはなんなのか。アダムスってアダムのことでいいのでしょうか。だとしたら、アダムは第一使徒ですから、セカンドインパクトで分裂した肉体があのエヴァに使われているということでしょうか。TV版では確か胎児の状態に戻されて、ゲンドウの手に移植されていましたよね。そして、カシウスの槍とはなんなのか、どうして2本ともロンギヌスだったのか、槍を抜いた後に一瞬出てくる綾波みたいな使徒はなんなのか、ゼーレは生きていたのか魂だけだったのか、色々わかりません。この辺は考察サイトなどを見ながら勉強しないといけませんね。テレビ版と旧劇場版を観なおしたりもしたいです。そして、フォースが止まったのもゲンドウの計画通りで、このあと何をしていくつもりなのか。予告ではファイナルインパクトとか言ってましたけど、きっとそれが起こるとユイを復活させられるのでしょう。どうやってやるのかはシンのお楽しみですね。

それにしても、シンジ君のKYっぷりったらひどいですよね。鈴原妹にエヴァに乗るなって言われてるのに乗っちゃうし、全員が槍抜くなって言ってるのに抜いちゃうし、今回はいいとこなしです。破のシンジ君はめちゃめちゃかっこよかったんですが…。きっとここでシンジ君がダメ野郎なのはシンへの布石なんだと思っています。ここで一旦落としておいて、最後の最後できっとやってくれるんでしょう!多分…!

あとは、最後のアダムスの器とアスカの戦闘も迫力満点で興奮しました。このへんはやっぱりDVDでは味わえない感動なので、最低あと1回は劇場に観に行こうと思います。

なぜエヴァは分かりにくく作るのか

最後にこれだけ考えたいと思います。

エヴァってTV版にしても旧劇場版にしても新劇場版にしても、正直よくわからないんですよね。というか、分かりにくく作っている。それは、解釈の幅があると言い換えることができますよね。

岡田斗司夫さんは、解釈の幅がなぜできるのかという理由について、作り手の言いたい事がよく分からないからだと仰っていました。エヴァのそれぞれのキャラクターは、それぞれがその状況で思ったことを言っているだけで、作り手の言いたい事を言ってくれるわけじゃない。それに対し、まどマギやおおかみこどもとかは、キャラクターが作者の言いたいことを懇切丁寧に言ってくれるので、解釈の幅がない。それを観た人は、みんなだいたい同じメッセージを受け取って感動すると。

じゃあ、みんなが一様に感動できるなら、そっちの方がいいじゃないか!と、一瞬思います。僕もそう思います。でも、その簡単に分かるってことにもデメリットがあると思います。それは、映画が伝えたいメッセージのエネルギーが小さいってことだと思うんです。エネルギーっていうのは、そのメッセージが観た人の教訓になったりするときの、影響力の大きさのことです。

解釈の幅のない作品では、キャラクターはそのメッセージを伝える機能をこなしていくために、ブレがないんですよね。友情や勇気を伝えるワンピースのルフィみたいな感じです。ルフィは自分が死ぬかもしれなくても、絶対に自分の命より仲間を大切にします。ブレない。エヴァのキャラクターはブレがあるんです。シンジ君はカッコいい時もあれば、自分を肯定するためだけに行動したりもします。その方が人間っぽいんですよね。人間なかなかブレなく生きれるものじゃないと思うんです。自分の信念通りに生きれるときもあれば、自分の弱さに負けちゃうときもあります。だからこそ、シンジ君たちの生々しいキャラクターをリアルに感じられて、共感度が高くなる。その結果、そこから得られた教訓は、自分が経験して手にしたかのようなエネルギーの大きなものになると思うんですよね。

ですが、さすがに今回のQはわけが分からなすぎたと思います。これがエヴァじゃなくてマクロスだったら、新潟で25時からのレイトショーがいっぱいになったりしないですよ。エヴァというブランドだからこそ許された事だと思います。

解釈の幅がなさすぎてもペターンと薄っぺらいものができてしまいますし、幅がありすぎるとわけ分からなくなるので、その中間の良いバランスを見つけないといけないですね。


ということで色々書きましたが、とにかくもう、観ている間はもうどっぷり入り込んじゃって最高に面白かったです!頭は終始フル回転してて見終わった後ぐったりでしたが(笑)
はやくもう1回観たい!